犬の腎臓病に対して正しい認識をもって大切な愛犬に長生きしてもらう為に
数回に分けて詳しくご説明します。
第一回目は腎臓の事や腎臓はどんな働きをしているのかなどをお話致します。
目次
犬の解剖図
犬は人類史の中で太古の時代から一緒に暮らしてきた仲間です。
常に協力しあいながら長い時間一緒に暮らし苦楽を共にし現在まで生きてきました。
そんな仲間だからこそ体の事や病気の事を知りいつまでも一緒に暮らしていけたらと思いブログを書きます。このブログでは犬の病気の事、食事療法の事を中心に数回にわけてお話します。
第一回目は犬の腎臓についてお話します。
ご存じの通り犬は人間と同じ哺乳類の動物です。基本的な体の構造は私たち人間とほとんど変わりません。
犬にも心臓や肺があり肝臓や腎臓などがあります。
したがって私たち人間がかかる病気に犬達もかかります。
犬達がどの様な病気になるのか、病気を知る為に犬の体がどの様になっているのか見てみましょう.。
犬の腎臓がある場所、大きさなどなど
人間の腎臓は腰の少し上の背中側に背骨を中心に左右一個づつあります。
犬もほぼ同じ位置にあり、大きさは犬種によって違いますがおおむね小型犬で5㎝~7㎝前後です。
また左右の腎臓でついている位置が若干ずれています。
なみに人間の場合は、人のこぶし位の大きさです。
また形はソラマメの様な形をしています。
腎臓の働き
腎臓の中を見てみるとネフロンと言われる器官があります。
このネフロンには細かい血管が沢山ありその中に糸球体と言われるものがあります。
糸球体は細い血管がまるで糸を丸めたなったもので、糸球体には輸入細動脈から血液が流れ込み、糸球体で老廃物を濾過し輸出細動脈へと流れます。
濾過された老廃物はすべてがおしっことして排出される訳ではなくその先
の近位尿細管、遠位尿細管で必要な物を必要な分だけ再吸収され再吸収された物質は血液によって体中に届けられます。そしてネフロンで出来た尿が集合管で集められ腎盂、尿管、膀胱を通っておしっこになります。
腎臓は何をしているの?
腎臓は非常に複雑な臓器です。単に余った水分を体外に排出する訳ではなく、以下の事を行っており腎臓は第二の脳と言われるほど緻密な仕事を行っています。
1、水分の調節(H2O)
2、老廃物の排出(尿素窒素)
3、ミネラルの調節 ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム
(Ca)、リン(P)、マグネシウム(Mg)、クロール(Cl)など
4、酸性、アルカリ性の調節
5、血圧の調節(レニンの放出)
6、造血ホルモンの放出(エリスロポエチンの放出)
7、ビタミンDの活性化物質の放出
腎臓が悪くなるとどんな事がおきるの?
1、水分の調整
腎臓機能が下がると、水分の排出ができなくなるので浮腫(むくみ)がおきます。またな水分の排出がうまくできなくなるとナトリウムが多くなり高血圧になります。
2、老廃物の排出
腎臓から排出される老廃物は、たんぱく質に含まれている窒素が入っています。たんぱく質がエネルギーとして代謝されると窒素が血液中に多くなります。その窒素は尿素窒素 (BUN)と言われ腎臓からしか排出ができず腎臓機能が下がると体にBUNが蓄積されて尿毒症になりいろいろな症状が出てきます。それらを放置すると死に至ります。
3、ミネラルの調節
ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム (Ca)、リン(P)、マグネシウム(Mg)、クロール(Cl)など調節します。腎臓の機能が下がると濾過や再吸収が出来なくなりミネラルバランスが崩れます。特にカリウムの排出が出来なくなると突然死の原因になったりリンが増える事で動脈硬化がおきます。
4、酸性、アルカリ性の調整
動物の体は弱アルカリ性から中性に保たれています。腎臓の機能が低下すると酸性に傾き体調不良になったりします。また体が酸性(アシドーシス)になったりアルカリ性(アルカローシス)になったりする事でいろいろな病気になります。
5、血圧の調整
腎臓からはレニンと言う物質が放出されています。このレニンは血圧の調整をしており腎臓の機能低下で血圧の調整がうまくできなくなります。
6、造血ホルモンの放出
腎臓からは造血ホルモン(エリスロポエチン)が放出されています。このホルモンがないと骨髄で血液が作られず腎性貧血になります。
肝臓からもエリスロポエチンは放出されますが、その量は全体の15%程度です。エリスロポエチンを注射する事で解消されます。
7、ビタミンDの活性化物質の放出
ビタミンD(VD)はカルシウムの吸収に重要な役割をします。
そのVDは腎臓から活性化物質と結合する事で腸から吸収されますが、VDが活性化できないとカルシウムが吸収できませんカルシウムが吸収できないと骨粗鬆症やリンの血中濃度が上がり血管を傷める原因になります。
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